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第12話 航海図


 平穏に見える海も、海面の下はつねに激しい潮流が渦巻いている。
 しかし、出戻り女の私は平和な陸の上からその様子を眺めているだけでいい。カモメのようにのんびりと。
 ボリュームたっぷりのスカートの下で、私はこっそりかかとの高い靴を脱いでくるぶしを回すようにほぐしていた。壁の花でいることはすでに慣れっこだった。憐れみや冷笑、ときどき品定めの視線を投げかけられることはあっても、待てど暮らせどダンスの誘いは来ない。大広間の隅の華奢な椅子にじっと座っているのは私にふさわしくない、といじけていた時期もあった。でも、あるときふと気付いたの。他人が踊ったり求愛したりされたり逃げ回ったりするのを眺めながら、壁際にいるのも悪くないかもしれない、って。
 ちらりと視線を横に動かすと、この晩も見慣れた顔ぶれが並んでいた。その中のひとり、馴染みの若い娘の黒い瞳と目があった。
「せめてもう少し座り心地のいい椅子を用意していただきたいわ」
 前を向いたまま私はつぶやいた。「明後日、ハサウェイ家の舞踏会にお招きいただいているのだけれど、明日のうちに我が家から私の椅子を運ばせるべきかしら」
「舞踏会のたびに、あちらこちらのお家に椅子を運ばせるのは手間ですわ」
 黒い瞳の娘は澄まして言った。「めぼしいお家すべてに私たちが座るための椅子を置いていただきましょう」
 私たちのやりとりを耳にしたくすんだ金髪の娘が、くすくす忍び笑いをこぼした。
「この街のすべてのお屋敷に、私たちのための椅子を届けなければなりませんわね」
 彼女たちも私も、自分がなぜここにいるのかよく分かっていた。黒い瞳の娘は、ここ数年で急速に財を築いたばかりの新興成金の娘だから。くすんだ金髪の娘は、家柄はよいけどいかんせん容貌が芳しくなかったから。そして私は言わずもがな。
「ミス・ローズデール、あなたからいただいたマリーゴールドのクリーム、もう手放せそうにありません」
 金髪の娘がそっとささやくように言った。「どうして塗っただけで頬の赤みが消えてしまうのですか? 吹き出物も全然できなくなりました。毎朝目を覚ますたび、魔法にかけられているような心地になります」
「先週までのあなたは呪いをかけられているようだったわ」
 私はきっぱりと言い放った。「白漆喰の壁みたいに白粉を塗りたくって。あれじゃあ治る肌荒れも治らなくてよ。私のクリームを使っているうちは、白粉をちょっとはたくだけで十分。それにその琥珀色のそばかす、小さくきらめく星々みたいで素敵だわ。絶対にお化粧で隠そうなんて考えないこと。よくって?」
 金髪の娘は血色のいい白い頬をぽっと赤らめ、目元を崩してうなずいた。
「ミス・ローズデール、マリーゴールドのクリームってなんですの?」
 黒い瞳の娘が好奇心丸出しで私に尋ねた。
「蜜蝋にマリーゴールドの精油を練り込んだクリームよ。肌のほてりや赤みを鎮めたり、吹き出物やにきびを抑える効果があるの」
「マリーゴールドにそんな効果があるのですか!?」
 驚いた黒い瞳の娘は、金髪の娘と私を交互に見比べた。「……あの、私、このところお肌の乾燥に悩まされているんです。いろいろな化粧品を試しているのだけれど、どうにも効き目がなくて…… ミス・ローズデール、あなた何かご存じない?」
「それなら馬脂をベースにしたラベンダーのクリームがいいと思うわ」
「馬脂?」
 聞き慣れない言葉に、黒い瞳の娘は首をかしげた。
「東洋で古代から火傷や皮膚病の治療に使われてきた軟膏の一種よ。肌につけると一瞬で浸透して、べたつかずにしっとり潤いを与えてくれるの。そのまま使えるけれど、少々においが独特なのよね。だからラベンダーで香り付けしたものを作ってみたの」
「作った? あなたが?」
「えぇ」
 魔女か錬金術師でも見るような目で、黒い瞳の娘は私の顔を凝視した。
「試しにほんの少しだけ使ってみる?」
 “断っても構わないのよ” という気安い雰囲気を醸し出しつつ、私は尋ねた。
「ミス・ペイン、ミス・ローズデールのクリームはすごいのです! 私をご覧になって。あんなにひどかった赤みも吹き出物も消えてなくなってしまったでしょう?」
 金髪の娘が黒い瞳の娘に言った。彼女の顔をじぃっと見てからうなずくと、黒い瞳の娘は遠慮がちに私に返事をした。
「ミス・ローズデール、私にそのクリームを分けていただけないかしら?」
「もちろん! 明日中にお宅に届けさせるわ。副作用は出ないはずだけど、まずは腕の内側とか目立たない場所で試してちょうだい。それから、もし肌に合わないようならすぐ使うのをやめて、どんな些細なことでも必ず私に教えていただける?」
「まぁ、ご親切にありがとう!」
 エキゾチックな美貌に少女のような笑みを光らせると、黒い瞳の娘は悪戯っぽくのぞきこんだ。「ところで、ミス・ローズデール、今夜あなたはミスター・ブラッドリーと踊る約束をされているの?」
「いいえ。あなたたちは?」
「私たちはあなたのおこぼれにあずかっているだけですもの」
 金髪の娘はほがらかな調子で言った。
 再婚する意思はないと公言しつつも気前のいいジョセフは、私のようにひとりも殿方からダンスの申し込みをされない壁の花たちを憐れみ、機を見計らってダンスを申し込んでくれる。彼の行いは男たちから “慈善事業” などと揶揄されているけれど、女たちからは “慈悲深い騎士のよう” と評判は上昇の一途だ。
「今宵も大海原は大時化ね」
 私は大広間の真ん中に見やって言った。「可哀相なミスター・ブラッドリー、四方八方から鮫たちに食い荒らされているわ」
 私の視線を追うと、黒い瞳の娘と金髪の娘は顔中にこれ以上ないというほど深い同情を浮かべた。ジョセフはこの晩も社交界の鮫たちの餌食となっていた。私のように陸にも上がることも叶わず、ダンスが終わると次から次に未婚の娘とその家族に追い回されていた。
 と、そのとき、私たちの前で誰かが立ち止まった。そこには、大柄なジョセフよりさらに一回りがっしりした巨体の若い紳士がいた。
「ごきげんいかがですか、ミス・モナハン」
 黒い瞳の娘と私を無視して、彼は金髪の娘だけに話しかけた。
「……ごきげんよう、ミスター・グリーソン」
 金髪の娘は気圧された様子で彼に返事をした。彼女が驚くのも無理はない。彼は対岸の大陸から帰国したばかりの、名門グリーソン家の跡取り息子だもの。
「ダンスのお相手をお願いできませんか?」
 ミスター・グリーソンはいきなり誘った。
 名家の御曹司とはいえ、なんて礼儀知らずで傲慢な男だ。私は嫌味のひとつでも言ってやろうと彼をにらみ上げた。ところが、どうしたことだろう、彼は頬骨のあたりをほんのり赤らめ、奥まった目を潤ませて一心に金髪の娘を見つめているように見えた。まるで彼女しか目に入らない、と言わんばかりに。
「ミス・モナハン、ダンスのお相手をお願いできませんか?」
 ミスター・グリーソンは再び彼女を誘った。金髪の娘は困り果てた様子で私たちを見た。私たちがにんまりしながらうなずくと、こわごわと、そして嬉しそうに頬を染めて彼にうなずいた。
「はぁ、驚いた!」
 金髪の娘とミスター・グリーソンが踊りの輪に加わるのを見届けると、黒い瞳の娘が興奮気味につぶやいた。「みんな、あの二人をちらちら盗み見しているわ」
「あら、みんなじゃなくてよ」
 私は声を潜めて彼女に耳打ちした。「ひとりだけ、さっきからあなたをじぃっと見つめている殿方がいるわ」
「えっ?」
「振りむいちゃだめ」
 私はあわてて彼女の肘をつかんだ。「あの方、きっともうじきこちらに来るわ。あなたをダンスに誘うはず――ほら!」

 これで何人めよ?
 自分の運命にまったく関心がないふりをしながら、私は内心頭を抱えていた。
 私はキャボット夫人のように男女の仲を取り持つ趣味はないし、縁結びなんて他人の幸せに生き甲斐を見いだすような殊勝な女ではない。私は自分の幸福を最優先したい。にもかかわらず、社交界で不遇をかこう娘たちと壁の花同士として友情を結んだ途端、彼女たちはこれまで壁際に追いやられていたのが嘘のように、素敵な殿方に求愛され結婚していった。でも、私はずっと壁際のまま。
 あぁ、私も早く壁から離れたい。
 だから、私は椅子から静かに立ち上がった。ジョセフが申し訳なさそうな表情を作って大広間をひとりで後にし、そのすぐ後に始まったワルツを一曲聞き流し、その演奏が終わると同時に、廊下の端の階段へ向かった。

「哀れな海の遭難者さん、ごきげんいかが?」
「ごきげんよう、海の妖女(セイレーン)。溺れゆく俺を尻目に、君は楽しそうにおしゃべりに興じていたな。おかげで俺はすっかり海の藻屑だ」
 荒れ狂う海で凶暴な肉食魚に食いちぎられた海難被災者にしては、階段に腰かけ私を見上げるジョセフは優雅で野性的な活力を留めたままだった。私は彼の隣りに腰をおろした。
「ジョセフ、あなたに聞いてほしいことがあるの」
 廊下の壁にしつらえたランプのほのかな灯りが、小さな松明のように並んでいた。夕暮れほどの明るさの中、私は前置きもなくジョセフに切り出した。
「何だい? リディア」
 どこか気づかわしげに私を見下ろす紺碧の瞳はいつもと変わらず穏やかで優しかった。私をいたわってくれる誠実な男友達の目だった。小さく深呼吸をしてから、私は胸に溜め込んできた野望を彼に打ち明けた。
「私、自分が作ったハーブ製品で商売を始めたいと考えているの。ハーブから抽出した精油や石鹸、蜜蝋でこしらえたクリームといった化粧品よ。母や祖母や女友達は何回も繰り返し使ってくれて、一年以上ずっと愛用してくれているのよ。だから、まったく売り物にならないわけじゃないと思うの。つまり、私、商人になりたいということなの。ほら、『南十字航路物語』のステラみたいな女商人にね。ずっと前から考えていたのよ。でも、家族や女友達に相談するのは気が引けて…… ねぇ、ジョセフ、あなたは私の男友達だし、立派な商人でしょう? あなたは私が――女の私が――商人になることをどう思って?」
 商人になりたい――この頃すでに、私のその気持ちは眠る前の夢想にとどめておくには、あまりにも大きくふくらみ過ぎていた。
 しかし、何度考えても身の程知らずで軽々しい無鉄砲な振る舞いという不安を拭いきれず、家族にも女友達にも誰にも打ち明けることができずにいた。秘密を胸に抱えるのは苦しい。誰かに告白したくてたまらなくなる。短慮な私なりに考え尽した末、直接影響を受ける家族でも、同性の女友達でもない、ほどよい距離を置いた男友達で商人でもあるジョセフなら相談できるかもしれないと希望を見出した。
 小心者の私にとっては、決死の告解だった。

「何てことだ、リディア……」
 ひどく驚愕した様子でジョセフが私を見下ろしいていた。
 私はたちまち後悔し落ち込んだ。
 あぁ、やっぱりジョセフもそこらへんの男たちと同じように、女が商売に手を出すなんてもってのほか、と呆れ返っているのね。彼なら私の夢を認め、背中を押してくれるかもしれない、とかすかな望みに賭けてみたというのに。
 ところが、意志薄弱な私にしては珍しいことが起こった。ジョセフの驚愕と呆れを目の当たりにして気落ちしても、私の野心そのものは弱まるどころかますます強さを増していったのだ。そこには対抗心や反発心も少なからず含まれていたけれど、甘やかされた小娘にしてはなかなかに堅固な心構えに、私自身かなり驚いた。
 お父様とアーサーの前に、まずはジョセフを納得させてみせる。いざ口を開きかけた、ちょうどそのときだった。

「まさか君がそんな夢と野望を抱いていたとは! まったく、リディアはいつも俺を驚かせてくれるよ。なんて型破りな淑女なんだ!」
 ジョセフは驚きと高揚感を隠そうともせず、見たこともないほど興奮して心躍った笑顔を輝かせた。まるで冒険小説の予告を聞かされた少年が、期待と興奮で内容を反復する様子に似ていた。
「ジョセフ、あなたは私にその夢を諦めるよう説得しないの?」
 私はいちかばちかの期待を投げかけてみた。
「説得? あぁ、するよ。君はその夢を諦めてはいけない。俺は断固として説得する」
 彼のそんな態度のおかげで、私はたちまち気持ちが上向きになった。
「ねぇ、ジョセフ、やっぱり独身の娘の私が商人になりたいなんて言ったら、家族からも社交界からも魔女のように非難されるかしら?」
 そして否定の言葉とともに、彼がいつものように機知とユーモアにあふれた調子で私を励ましてくれますようにと、またしても期待を込めて私は彼を見つめた。
 私の視線を受け止めた紺碧の瞳には、友愛と親密の情が満ちているように見えた。
「あぁ、間違いなく非難される。そして君は確実に今以上に評判を落とすだろう」
 ジョセフは吟遊詩人が叙事詩を詠うように答えた。
 森を支配する狼のように頼もしく賢そうな顔には、冒険譚に心躍らせる少年のような笑みがきらめいていた。低くかすれた声は、青々と茂った木々のさざめきのように優しく落ち着いていた。
「ジョセフ、あなたの簡潔な話し方、私はとても好きよ。でも、たまにはお上品ぶった遠回しな表現を使っても罰は当たらないと思うの」
 自分の声に失意と落胆、そして期待を裏切られた哀しみと怒りが染み出さないよう注意しながら、私は彼をにらみ返した。
 この男! すっかり私の賛同者のような顔をしておきながら、最後の最後で私の不安を否定したり心配を払拭したりはしてくれなかった。私が気に病んでいたことをすべて肯定し、あろうことか私があえて口にしなかった最も怖れている事態が起こるとはっきり明言した。社交界のほとんどすべての女を魅了してやまない、あの自信と確信に満ちた微笑みを浮かべて!
「因習を打ち破る開拓者への非難や批判はつきものだ。でもそれが何だというんだ? 素晴らしいことじゃないか! 俺もステラが大好きなんだ。彼女のように自由で正直で感情豊かで、自分の夢にみずから漕ぎ出そうとする女性は称賛に値するよ。リディア、俺は君を応援しないわけにいかないな」
 紺碧の瞳が、幻の香辛料と伝説の秘宝を探し当てた船長ジョッキー・ダンのように輝いていた。
「社交界の全員が君の敵に回るかもしれない。でも、俺は必ず君の味方だ。約束する」

 男が女と約束を交わすとき、女は必ず慎重かつ冷静に対処するべきだ。
 男という生き物は、まず名誉を重んじる。安全な状況下では善良で紳士的に振る舞うけれど、ひとたび旗色が危うくなり、自分の名誉と評判を試される場面に直面すると、いかに親しくしていようと迷うことなく女などにはそっぽを向き、自分の安全と保身を最優先で確保しようと努める。私が離婚で実家に出戻ったとき、社交界のほとんどの男友達がそうだったようにね。
 離婚以来、社交界で私に声をかけたりダンスに誘ってくれたりしたのは、持参金目当てのコソ泥か、父ほどの年配の寛容で親切な紳士だけだった。けれど、ジョセフはあの再会以来、一貫して私と友人関係にあることを隠そうとしたり、居心地悪そうなそぶりを見せたりしなかった。
 舞踏会では私と必ず一曲はワルツを踊ってくれた。多くの視線を気にすることなく壁際で私とおしゃべりをしてくれた。晩餐会では私の席まで挨拶に足を運び、彼の友人やその妻たちを紹介し、いくら周囲から遠回しに私との交友をたしなめられても気付かない振りをして受け流してくれた。
 私の生意気で臆面のない物言いを「率直で爽快だ」と笑い飛ばした。何でもかんでも質問するわきまえ知らずなところを「教養豊かで聡明だ」と称賛した。多くの人たちの前で、私の淑女としての欠点を肯定し認めてくれた。
 こんな男の約束を信用できないなら、世界中のありとあらゆる契約書や誓約書をすべて無効にしなきゃならないわよね。

「ジョセフ、ありがとう。あなたはこれまでずっと私の味方でいてくれたわね」
 感謝の気持ちがあふれるあまり、私はジョセフの右手を両手で強く握り締めた。
「やっぱりあなたに相談してよかった。勇気をもらえたわ。あなたほど信頼できる男友達はいないわね」
「君からの賛辞ほど、俺を誇らしい気持ちにさせるものはない」
 私の手を握り返してくれたときのジョセフは、まるで貴婦人に忠誠を誓う騎士のように真摯で頼もしかった。
「私、お父様やアーサーに言ってみるわ。ものすごく反対されるだろうけど、根気強く説得するつもりよ。兄はともかく、お父様は私に甘いところがあるし、もしかしたらお母様やお祖母様が味方に付いてくれるかもしれないしね」
「あぁ、ぜひそうするべきだ。それとこれだけはよく覚えておいてくれ」
 ジョセフの空いていた左手が、私の両手をそっと包み込んだ。彼の紺碧の瞳が熱意に潤んで私を励ますように見つめていた。
「もし俺にできることがあればどんなことでも連絡してほしい。俺なら必ず君の力になれるはずだ。リディア、君が俺の商人仲間になる日が今から楽しみだよ!」

 私はこのとき、『南十字航路物語』でステラがジョッキー・ダンの旅の仲間に加わったときの場面を思い出していた。

 琴座島で一番腕の立つ薬草商人だったステラは、家族を人質に取られ、泣く泣く極悪非道な海賊商人たちの手下となっていた。そのために島の女たちからは仲間外れにされ、男たちからは邪魔者扱いされていた。
 でも、彼女はジョッキー・ダンとその仲間たちと共に極悪人たちに立ち向かった。彼らを琴座島から追い出すことに成功し、家族を取り戻し、島のみんなとも和解できた。
「私は万病を癒す奇跡の花 “小夜啼き鳥の涙” の種を手に入れる。琴座島でその花を育てて、病気や怪我で苦しむみんなを治して元気にするんだ。ジョッキー・ダン、私はあんたたちと一緒に南十字航路に行くよ」
 それに対してジョッキー・ダンはこう応えるの。
「俺たちの船に女商人が乗り込むだと? なんてことだ! 女は我ら男が唯一征服できない凶暴な獣だ。ステラ、お前が仲間になるとは頼もしい。旅が楽しくなりそうだ」

 さっそくこの翌日、ジョセフの応援という頼もしい航海図を胸に、私は父の書斎で父と兄に対峙することになった。



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