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第31話 価値


 そろそろ大広間に戻ろう。
 手袋をはずした指先で、濡れた下瞼をそっとぬぐった。
 この頃、少し大広間から抜け出すだけで「あなたはまるで気まぐれな夜の妖精(ニンフ)だ。少し目を離した隙に、私と踊ったことなどまるでなかったかのように私の前から姿を消してしまう」なんて嫌味を頂戴するようになっていた。これまで散々女として価値がないと嘲笑ってきたにもかかわらず、多くの殿方は私に淑女らしい愛嬌や礼節まで求めてくる。私のような器量の小さい女ではお応えできかねる要求だ。

 もし私が、そうした要求のすべてに適う器量よしでほがらかな淑女だったら、気楽で気安い友人としてではなく、ジョセフに愛する妻として求められていたかしら。
 彼は私にその価値を見出してくれたかしら?

 いまさらそんな女々しいことを考えてどうするのよ。再び陰鬱な気持ちに陥るのはまっぴらだったので、私は結い上げた髪が乱れるのも構わず頭をぶんぶんと振った。意地と理性の力で、睫毛の先から滴り落ちる涙をせきとめた。
 よろよろと椅子から立ち上がり、月明かりを頼りに鏡をのぞきこんだ。
 失意と悲しみで青白い顔をした女の情けない顔。高級娼婦のようと名高い派手な顔立ちも、これでは形無しだ。下瞼がかすかに赤らんでいたけれど、この程度なら失恋の痛みと我が身の愚鈍さに涙したことを悟られずに済みそうだった。
 それでも、上品なランプの灯りに照らされた廊下を独り突き進みながら、私は大嫌いだったはずの自己憐憫をやめることができなかった。

 私は唯一の存在になれない女。
 二番目以下の価値しかない女。
 つまるところ、魅力のない女なのよ。
 ごく一部の親切で気前のいい人々がたまに「美しい」とお世辞を言ってくれるけれど、私が見慣れているのは「この尻軽そうな赤毛の女をどうやって寝室に連れ込もうか」と娼婦を品定めする傲慢な殿方たちの眼だった。そのうえ、私は本物の娼婦のように殿方を魅了する機知や聡明さ、侮蔑や冷笑を毅然と跳ね返す芯の強さがない。
「あなたはご自身の魅力を正しく理解なさるべきよ、ミス・ローズデール」
 顧客のひとりの高級娼婦にはっきりそう言われ、憐れまれる体たらくだもの。
 彼女の言うとおりだった。私は正しく自分の魅力――身の程ともいう――を理解するべきだった。ジョセフに愛を打ち明け、応えてもらえるとわずかでも期待してはいけなかった。
 意気揚々と飛び出したものの当てがはずれ、逃げ戻ってきた家出人のように大広間の扉の前までたどりついた。私を認めると、若い従僕の青年がすぐさま扉を開けた。
 やわらかくきらめくシャンデリアの光、ゆったりと心地良い管弦音楽、上品な話し声と笑い声が、災いを詰め込んだ魔女の箱から飛び出した邪悪な魔物たちのように私を取り囲んだ。一瞬、無数の眼が私めがけて振り向いた気がした。そして、餌の価値すらない虫けらを見逃すように私から視線をはずした。そんな自意識過剰な錯覚を覚えるほど、このとき私は惨めで無様な心地だった。

「ミス・ローズデール! とうとう見つけたぞ。いったいどこに行っていたんだ!」
 そんなときに限って、最も会いたくない男が颯爽と人混みをかきわけて近づいてきた。トロール網にひっかかる大量の魚たちのように、無数の目が彼を追い、そして私に突き刺さった。ジョセフの鮮やかな紺碧の瞳が眩しそうに私を見つめ、漁網に捕えられた間抜けな人魚のように、私はその場から逃げることもできず立ち尽くした。
「あなたが私を恋しがって探し求めていると思い、大急ぎで戻ってまいりましたのよ、ミスター・ブラッドリー」
 はすっぱな返事に多大な願望が込められていると悟られないよう、私はつんと顎をあげてジョセフを見返した。彼は満足そうに微笑むと、隣にいた金髪碧眼の男に前に出るよう目で合図をした。
「ミス・ローズデール、私の友人を紹介させてくれ。ウェリントン子爵フレデリック・フィッツバートだ。私とは寄宿学校からの仲で、大学でも同じポロ・クラブのチームメイトだったんだよ」
 ウェリントン子爵は私のドレスの襟ぐりに一瞥を与えてから、悪戯っぽい笑みとともに真っ白な歯をのぞかせた。
「なるほど、噂に違わぬ美しさだ。お会いできて光栄です」
 彼は自信にみなぎる優雅な所作で一歩前に踏み出した。「はじめまして、ミス・ローズデール。私のことはウェリントン卿と呼んでくれたまえ」
 その名前には聞き覚えがあった。ハーヴァート大学時代、ジョセフが首席を争っていたという青年貴族だ。私の記憶がたしかなら、ウェリントン子爵はアンドーヴァー公爵の法定推定相続人に与えられる儀礼称号のはず。彼がその人物なら、私の大顧客であるアンドーヴァー公爵夫人のご子息で、懇意にしている公爵令嬢の兄ということになる。
 いやはやしかし、下級貴族ならまだしも、王国屈指の名門である公爵家の御曹司が大学へ進学するなんてかなり驚きよね。そのうえ、この国で最も歴史が深く、最も格式が高く、どんな名家の息子にも無慈悲で過酷と名高いハーヴァートを首席で卒業したのだから、彼は相当な変わり者なのだろう。
「はじめまして、ウェリントン卿。リディア・ローズデールと申します。こちらこそ、お会いできて光栄ですわ」
「こうして君に会えたことを、神と我が友に感謝せねばならないな。もっとも、不義理な我が友ブラッドリーは、私が帰国するまで君のことを隠していたのだがね」
 ウェリントン卿は愛嬌たっぷりにウィンクをした。彼の屈託のない笑みは、ジョセフの落ち着き払った男の色気漂う笑みと対照的だった。
「ウェリントン卿、言いがかりはやめていただきたい。あなたは先週ようやく三年ぶりに帰国したばかりだ。ずっと海外を飛び回っていたし、私の手紙の返事には現地の遺跡や発掘された芸術品のことしか書いてよこさない。ミス・ローズデールは、あなたが求めてやまない土の中に埋もれた古代の女神像ではない。あなたが生きた淑女である彼女のことを知りたがるなど、私が考え及ぶはずがない」
 ジョセフにとって、私は手紙で紹介する価値すらない友人だったのね。
 冷たく暗い土の中に埋もれた古代の女神像のように、私の心は硬く冷え込んだ。
「だからお前は友達甲斐のない男だというのだ」
 ウェリントン卿の口調が親しげに砕けた。「お前のそばにあでやかな赤毛の美しい友人がいると知って、私がすぐさま帰国したくなるとは考えなかったのか?」
「失敬、それはまったく思い至らなかった」
 芝居がかった調子で肩をすくめると、ジョセフが私に視線を移した。「ミス・ローズデール、彼は外交官という隠れ蓑をかぶっているが、正体は異国の遺跡発掘に熱を上げ、財力にものを言わせて芸術品を買い漁る海賊のような男だ。きっと君にとって有意義な話を聞かせてやれるはずだよ」
「まぁ、それは好奇心を刺激されずにはいられないわ」
 自尊心のかけらを寄せ集め、私はジョセフに微笑んだ。「海賊のような貴公子。相反する魅力を兼ね備えていればいるほど、殿方は魅力的ですもの」
 致命的な居心地の悪さに息が詰まりそうだった。
 黒髪で野性的なジョセフと、金髪で優雅なウェリントン卿。並はずれた長身と堂々とした存在感で、大広間の視線を独占する彼らのような男が目の前にそろうと、それだけで空気が薄くなったような圧迫感を覚えた。私がウェリントン卿に無礼を働くのを期待、あるいは危惧する無数の気配に居た堪れなくなった。そのうえ、名門貴族の彼と直接言葉を交わす幸運に見舞われた私に対する嫉妬と不快感が、チクチクと細い針のように私の全身を苛んでいた。
 ただでさえ失恋の悲しみで委縮し意気消沈していた私は、胃袋がきりきりと締めつけられるのを感じだ。

「ミス・ローズデール、私の母と妹は君のハーブ製品の熱狂的な支持者だ。とくに妹は私への手紙で君に対する賛辞を何度も書きつづっていた。だから君がブラッドリーの非常に親しい友人だと聞いて、是が非でも君に会わねばならないと決めていたんだ」
 ウェリントン卿の妹、アンドーヴァー公爵家令嬢のレディ・ベアトリスは私の顧客のひとりだ。十八歳の彼女とは私的に文通する仲にあった。彼女は大貴族の娘とは思えないほど素直で、私に親や家の者に言えない不平不満や恋の相談を打ち明けていた。彼女からの手紙を読むたび、僭越ながら、私はまるで妹ができたようで温かく優しい気持ちになれた。
「まぁ! 私こそアンドーヴァー公爵夫人とレディ・ベアトリスを信奉するひとりです。ステラ・ド・ロレアンのハーブ製品をお届けするたび、ありがたくも私に心温かなお手紙をくださるのです」
 大広間への帰還後、私はようやく心から微笑むことができた。
「我が妹曰く、君は “私の救いの女神” であり、“希望を与える善き魔女” らしい」
 レディ・ベアトリスの大仰な賛辞は、私の頬をほかほかと上気させた。
「まぁ…… そのようなお言葉を……」
 感激のあまり、いつものように軽妙な切り返しを決めることができなかった。みっともなくもごもごと口ごもってしまったけれど、そんな私の様子はウェリントン卿を満足させたらしい。
「母と妹の影響かどうかは測りかねるが、君の名声は首都にも届いている」
 ウェリントン卿はゆったりと優雅な微笑みを私に向けた。「女だてらに事業を立ち上げ、対岸の大陸まで股にかけて商売を仕切っている強欲な女商人とね」
 彼の簡潔な言葉に潜む意図はあからさまだった。
 その証拠に、すぐそばで私たちの会話に聞き耳を立てていたジリアンたち若き社交界の雌鮫たちは、扇子を顔の前で揺らしながら私の窮地にほくそ笑んでいた。
 折りたたんだ扇子をぎゅっと握りしめた。
 どうして? どうして私がこんな目に遭わなければならないの?
 失恋と嘲弄を同じ日に受け止められるほど、私の心は広くも強くもないのに。
 同じ商人からバカにされるのならまだ耐えられる。しかし、働く必要もなく、商売の苦しみも知らず、先祖の功績と血筋のおかげで領地からの小作収入だけで悠々自適に暮らせるお貴族様から、私の商売や品格に口を出されるのは耐えがたく不快だった。
 それでも、癇癪は爆発しなかった。代わりに、恋に破れ希望を失った女にふさわしい、捨て鉢な自暴自棄が私を突き動かした。
「私のような海運貿易商の娘の名が、首都におられる尊き貴族のみなさまの口に上るとは身に余る光栄ですわ」
 私はウェリントン卿をまっすぐ見上げた。「あなた様も私に会いたくて会いたくて想いを募らせていらしたご様子ですしね」
 身の程知らずな私の反抗は周囲にさざ波を起こした。拳闘の試合を取り囲む観衆のように、彼らはウェリントン卿と私の一挙手一投足を注視していた。
「君は男のように正直だな」
 怒りも焦りも見せず、ウェリントン卿は鷹揚に笑みを深めた。「なるほど、それなら強欲さも出しゃばりぶりも評判どおりと納得できる。君はまさに “淑女にあるまじき女商人” だ。実に興味深い。その情熱的なエメラルドグリーンの瞳で見つめられると堪らないな。もっと君のことを知りたくなるよ――あますところなく」
 紅潮する頬の熱に構う余裕もなく、私は屈辱で奥歯を噛み締めた。
 これでは一晩の価値を値踏みされる娼婦とその顧客だ。いくら私とて、こんなふうに公衆の面前で欲望の対象として扱われたことはなかった。驚愕と屈辱で顔中の筋肉がわななき引きつった。

 ウェリントン卿は本当にジョセフの友人なのだろうか。ジョセフは評判や噂にとらわれず、私のような女も淑女として礼儀正しく敬意を払って扱ってくれるのに。
 しょせん、大貴族の御曹司にとって貿易商の娘とはこの程度の価値しかないのね。身分という絶対的な自信と血統という脅かされるもののない確信に裏打ちされた風格は、私のような成り上がりの女商人が逆立ちしたところで決して手が届かないものだ。国を背負い、大局を動かす権力を持ち、海外を渡り歩く外交官らしい超然とした風情が、比べるべくもない格の違いをまざまざと私に突きつけた。
 彼にとって、私は吹けば飛んでいく枯れ葉のように取るに足らない空疎な存在。到底、私のような一介の海運貿易商の娘がまともに相手にされるはずがなかった。
 敗北感と後悔でうつむきかけた、そのときだった。

「ウェリントン卿、あなたは私の二十年来の友人だ」
 凍てつく霜が冬の大地を裂くように、ジョセフの低い声が大広間に響いた。「あなたをここから叩き出す役目を負うのはつらい。しかし、あなたがこれ以上ミス・ローズデールを貶めるなら、私はその苦役に率先して従事するつもりだ」
 凛々しい黒い眉の下からのぞくジョセフの深い青の瞳が、鋭い光を宿してウェリントン卿を見据えていた。森を踏み荒らす侵入者に牙を剥く狼のように。とけかけた氷河の上に立たされているような緊迫感が大広間を覆った。
 このとき私は完全に頭に血が昇っていたけれど、ジョセフの慇懃な声に宿る物騒な響きを聞き取るだけの冷静さは残っていた。
「ブラッドリー、どうした? 君がそんな顔をするのは、せいぜいポロの試合で負けたときぐらいだろう。私はそれすらほんの数回しかお目にかかったことはないがな」
 張り詰めた空気の中、ウェリントン卿の優雅な笑みは際立って異質だった。
「大切な友人を侮辱されて黙っていられるほど、私は寛容な男ではない」
 みずから盾になりウェリントン卿からかばうように、ジョセフは私の前に進み出た。
「我が友の変化とは、かくも感動的なものなのだな」
 ウェリントン卿の空色の瞳に初めて挑発の光がきらめいた。「君が女を “大切な友人” と呼ぶ日が来ようとは」
「あなたに感動を与えられるとは喜ばしい限りだ」
 一瞬の沈黙を挟んでジョセフが言った。肩越しに見えるのは、冷やかでつかみどころのない表情。「だが驚くには値しない。ミス・ローズデールと私の友情にはそれだけの価値がある」
 静まり返った大広間の一角に、見えない剣と剣が打ち合い、金属と金属がこすれ合う耳障りな音がこだまするのが聞こえるようだった。

「ウェリントン卿、あなた様のおっしゃるとおり、私は出しゃばりで強欲な女です」
 私はジョセフの陰から躍り出た。
 彼とウェリントン卿だけでなく、大広間のありとあらゆる眼が一斉に私に向けられた。私はわざとらしく明るく陽気な声をはりあげた。「ですが、私が今こうしてあなた様の前に出しゃばるのは、紛れもなくあなた様ご自身に責任がございます」
 やめておけばいいのに、私は舞台女優のように出しゃばり女を演じずにはいられなかった。ジョセフとウェリントン卿の間で長い時間をかけて培われた友情が、私の目の前で崩壊するのを黙って見過ごすなどとてもできなかった。
「君自身の振る舞いにもかかわらず、私が悪い、私に非があると言うのか?」
 ウェリントン卿は優雅な笑みはそのままに、アンドーヴァー公爵家の血筋と身分にふさわしい威圧感で私を圧倒した。自分にはとても太刀打ちできそうにないと思ったけれど、それを相手に悟られるわけにはいかなかった。
「はい、おっしゃるとおりです」
 震えて崩れ落ちそうな膝に力を込め、私はつとめて穏やかな調子で続けた。「どれほど無欲で貞淑な女も、あなた様の前に駆けつけずにはいられませんわ、閣下。私のように強欲な女ならなおのこと」
 私の際どい駆け引きに、ジョセフは不快感もあらわに顔を歪めた。
「ですが、私は身の程を知る自由貿易同盟の女です」
 彼が私をにらみながら口を開きかけたので、私は焦って早口でウェリントン卿にまくしたてた。「遅ればせながら、あなた様の前からいかに見苦しくなく立ち去るか考えあぐねているところです」

 そうだ。それがいい。
 たとえこれまでにないほど致命的に評判を落とすことになっても、今夜はこのまま舞踏会から立ち去ってしまおう。そうすればこれ以上、幸福な婚約を交わしたジョセフとシャーリー・フェアバンクスと同じ場所にい続けなくて済む。
 とっさに飛び出した売り言葉だったけれど、私はこの場で考えうる最善の手段に思えた。私はウェリントン卿からの洗練された退去命令を待ちかまえた。
「君はもう私の前から立ち去ってしまうのか?」
 ところが直後、私の覚悟を無視する奇妙な出来事が起こった。 大貴族らしい高慢さや威圧感が消え、いかにも残念そうに眉を下げたウェリントン卿が甘えるように私をのぞきこんだ。
「えぇ、もちろんです」
 彼の豹変に激しく面食らったものの、あっさり前言を撤回するのは私のなけなしの意地と矜持が許さなかった。「花の蜜を味わい尽した蜜蜂のようにそそくさと、という程ではありませんが」
「ミス・ローズデール、君が立ち去る必要はない」
 静かだが明らかに怒りを込めて低められた声が重なった。「今それをするべきなのは君ではない。そうだろう? ウェリントン卿」
 弾かれるようにジョセフを見返すと、その表情は海底に沈んだ大理石の彫像よりも冷たく硬く、怒りと不快感をたぎらせてウェリントン卿を見据えていた。私の視線に気づいて振り向くと、彼の表情はたちまち罪悪感で曇った。つねに冷静沈着で悠然とした紺碧の瞳が、私に許しを乞うように熱っぽく潤んだ。
 嵐の海に呑み込まれ溺れたように息ができなくなった。
 喜びと悲しみがせめぎ合い、私は激しい眩暈でくらくらした。
 私は唇を噛み、こぼれ落ちそうな涙を必死にこらえた。海の泡のように、今すぐこの場から消えてなくなってしまいたい。そう願わずにいられなかった。

 ジョセフは残酷な男だ。そのうえ、私以上に強欲なのかもしれない。
 私以外の女と愛し合い婚約を交わしながら、こんなふうに私を優しく思いやり、断ち切りがたい友情の価値をまざまざと思い知らせる。無意識のうちに私の心を独占しようとする傲慢な男の尊大さは、あらがえないほど魅力的で力強い。

 ジョセフの強すぎる視線から逃げるように、私は睫毛を伏せた。
 同時に、場違いもはなはだしい陽気な笑い声が重苦しい沈黙を粉砕した。



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